LINE公式アカウントの無料枠、何ができて何ができないか

LINE公式アカウントの無料枠、何ができて何ができないか

「無料で始められるなら、まずやってみよう」。そう思ってLINE公式アカウントを開設し、お客さんに友だち登録を呼びかけ、月に何度かお知らせを配信していた。ところがある日、配信しようとしたら「今月の無料メッセージ数の上限に達しました」と表示され、送れなくなった——。

あるいは、逆のパターンもあります。「上限が来るのが怖くて、結局ほとんど配信できていない」。無料枠がいくらで、何にどれだけ使えるのかがはっきりしないまま、なんとなく様子見で止まってしまっている。

この記事では、LINE公式アカウントの無料枠で「何ができて、何ができないのか」を、通数の数え方から整理します。数字の仕組みがわかれば、無料のままでも計画的に使えますし、有料に上げるべきかどうかも自分で判断できるようになります。

※本記事の内容は2026年7月時点の情報です。料金・通数・機能は改定されることがあります。金額や最新の上限は、公開前にLINEヤフー公式ページで必ずご確認ください。

無料枠は「月200通」。まず数え方を押さえる

最初に、いちばん間違えやすい数字をはっきりさせます。LINE公式アカウントの無料プラン(コミュニケーションプラン)で無料で配信できるメッセージは、月200通までです。

ネット上には「1,000通まで無料」という情報がまだ残っていますが、これは過去の内容で、現在は誤りです。この数字を前提に計画を立てると、月の途中で足りなくなります。まず「200通」で覚えてください。

そして、ここがいちばん大事なところです。この200通は、「配信ボタンを押した回数」ではありません。消費される通数は、次の計算で決まります。

消費される通数 = 配信した友だちの人数 × メッセージの通数

友だち100人に、1回、1通のお知らせを一斉配信 → 100通を消費

つまり、友だちが多いほど、1回の配信で消費する通数も増えます。具体的に見てみましょう。

友だちの人数1回の一斉配信で消費月200通で送れる回数の目安
50人50通月4回まで
100人100通月2回まで
200人200通月1回まで
300人300通1回でも上限オーバー

友だちが200人を超えたあたりから、無料枠では「月1回の一斉配信で精一杯」になります。「無料枠が少ない」のではなく、「一斉配信を前提にすると、あっという間に足りなくなる」——この構造を理解しておくことが出発点です。

※お客さま(友だち)からお店への返信や、あいさつメッセージなど、通数にカウントされないものもあります。カウント対象の詳細は公式の最新情報をご確認ください。

「200通は少ない」と嘆く前に ― 制約を戦略に変える

ここで多くの人が「じゃあ有料にしないと使えないな」と考えます。しかし、その前に立ち止まってほしいのです。

大手は、何万人もの友だちに、何通でも配信できます。広告費も潤沢です。同じ土俵で「たくさん配信する」勝負を挑んでも、小さな会社に勝ち目はありません。これはランチェスターでいう弱者の戦い方ではありません。

小さな会社の勝ち筋は逆です。配れないからこそ、送る相手と回数を絞る。これが弱者の戦略でいう一点集中です。月200通という制約は、むしろ「誰に、何を送るか」を真剣に考えさせてくれる装置だと捉え直せます。

  • 全員に送らない。「今月クーポンを使っていない常連さんだけ」のように相手を絞れば、少ない通数で濃い一通が送れます(ただし、この絞り込みは単体では難しく、後述する外部ツールの領域です)。
  • 回数を追わない。月に何通も送って友だちに飽きられるより、月1〜2回、本当に役立つ内容を届けるほうが、ブロックされにくく関係が続きます。
  • 1:1トークを活かす。一斉配信ではなく、問い合わせてきた個人と丁寧にやり取りする。大手がコストの都合で捨てる「個別対応」こそ、小さな会社が差をつけられる場所です。

200通で足りるように設計することは、我慢ではありません。小さな会社に合った使い方に、自然と寄せていくことでもあります。

無料でできること(LINE公式アカウント単体)

無料枠でも、基本的な機能はひととおり使えます。通数を消費しない機能も多く、工夫しだいで十分に戦えます。

  • 一斉配信(月200通の範囲内)。友だち全員、または一部への配信。
  • あいさつメッセージ。友だち追加した瞬間に自動で届く最初の一通。ここは作り込む価値が大きい部分です。
  • リッチメニュー。トーク画面の下に出る、ボタン付きの画像メニュー。予約・メニュー・問い合わせなどへの入口になります。
  • 簡易な自動応答。特定のキーワードに対して、あらかじめ用意した返信を自動で返す。
  • 1:1トーク。個別のお客さんとの直接のやり取り。これは通数を気にせず使える強力な機能です。

特にあいさつメッセージ・リッチメニュー・1:1トークは、通数の心配なく作り込めます。無料枠を語るとき、この「消費しない機能」をどう活かすかが、実は勝負どころです。

無料枠だと「できない・物足りない」こと

一方で、無料プラン(=LINE公式アカウント単体)では、届かないところもあります。ここを知らずに「LINEでこれができるはず」と思い込むと、設定の途中で詰まります。

  • ✕通数を増やすこと。月200通を超えて配信したいなら、有料プランへの変更が必要です。
  • ✕友だち一人ひとりに情報を紐づけて管理すること。「この人は常連」「この人は先月来店」といった個別の属性管理は、単体では弱いです。
  • ✕細かい条件での絞り込み配信。「特定の条件の人だけに送る」は、外部ツールを入れて初めて実用的になります。
  • ✕ステップ配信・リマインド・回答フォーム。登録後に日をずらして自動で届けたり、未対応の人にだけ催促したり、フォームで回答を集めたり——こうした自動化は、外部ツールの領域です。

これらをやりたくなったときが、「エルメ」などの外部ツールを併用するか、有料プランを検討するタイミングです。逆に言えば、そこに用がなければ、無料のままでかなりのことができます。

外部ツールで「できること」を広げる方法は、姉妹サイトで 友だちごとの項目管理、条件での絞り込み配信、ステップ配信やリマインド、回答フォームといった機能を、エルメを使ってどう実現するかは、姉妹サイト「LINE公式アカウント×エルメの作り方ガイド」で解説しています。 → 姉妹サイトの該当記事へ

見落とすとトラブルになるポイント:配信の中身と個人情報

無料か有料かの話とは別に、配信を始める前に押さえておくべき点があります。友だちの情報を扱う以上、避けて通れないところです。

◆ 取得した情報の「利用目的」を意識する

友だち登録を通じてお客さまの情報に触れる場合、個人情報保護法では、取得にあたって利用目的をできる限り特定し、本人に通知または公表することが求められます。「LINEで登録してもらった情報を、後から想定外の用途に使う」ことがないよう、何のために登録してもらうのかを、登録の入口やお店の掲示・サイトで示しておくのが安全です。

◆ 従業員向けに使うなら、業務連絡の線引きを

お客さま向けだけでなく、従業員への連絡にLINE公式アカウントを使うケースもあります。その場合、営業時間外の配信に返信を義務づけると、その対応が労働時間に関わる論点になります。業務連絡は営業時間内に送る、時間外は返信不要と伝える、といった運用の線引きをしておきます。

※個人情報の取扱いは個人情報保護法、業務連絡の労働時間性は労働時間の考え方に関わります。要件は改正されることがあり、個別の適用可否は状況によって変わります。判断に迷う場合は個別の確認が必要です。

有料に上げるか、無料のまま工夫するか

最後に、判断の物差しを示します。次のどれかに当てはまってきたら、有料プランや外部ツールの検討時期です。

1

友だちが増え、月200通では月1回の配信も難しくなってきた。集客が回り始めた良い兆候でもあります。

2

「この人だけに送りたい」という絞り込み配信をしたくなった。単体では難しいので、外部ツールの出番です。

3

ステップ配信・リマインド・フォームで手作業を自動化したくなった。ここも外部ツールの領域です。

逆に、これらにまだ用がないなら、あわてて有料にする必要はありません。まずは無料枠で、あいさつメッセージとリッチメニューを作り込み、月1〜2回の配信を続けるだけでも、十分に効果は出ます。

※有料プランの月額料金・追加メッセージの料金・上限通数は改定されます。金額は本記事では扱いません。検討時は必ずLINEヤフー公式の最新の料金ページをご確認ください。

よくある失敗

「1,000通無料」の古い情報で計画を立てる
現在の無料枠は月200通です。古い数字を前提にすると、月の途中で配信できなくなります。

友だち全員に、何通も配信して使い切る
回数を追うほど通数は減り、友だちにも飽きられます。相手を絞り、回数を絞るほうが、通数も関係も長持ちします。

上限が怖くて、結局ほとんど配信しない
いちばんもったいないパターンです。まず自社の友だち数から「月何回送れるか」を計算し、その範囲で計画を立てれば、怖がる必要はありません。

まとめ

この記事の結論

  • 無料枠は月200通。「配信した友だち数 × 通数」で消費されるので、友だちが多いほど1回の配信が重くなります。
  • 単体でできること(あいさつ・リッチメニュー・1:1トーク)は通数を気にせず作り込める。ここが無料枠の勝負どころ。
  • 絞り込み配信・ステップ配信・フォームなどが必要になったら、外部ツールや有料プランの検討時期です。

明日やること:自社の友だち数から「月に何回配信できるか」を計算する。200 ÷ 友だち人数 が、月の配信回数の目安です。この一手で、無料枠との付き合い方がはっきりします。